住 所   大分県別府市野口中町17-18
  電 話   
 営業時間   2013.03.31 閉鎖
 入浴料   100円
温泉利用状況   完全放流式 (加水あり)
   
 源 泉 名   
  泉 質   単純温泉
 湧出量       ℓ/min
 泉 温       ℃
 pH   
 成分総計        g/㎏
 





 入浴履歴   初訪06.08.25,最終13.02.10(3回目)
 評 価   ★★★★
 別府温泉
薬 師 温 泉
                         べっぷおんせん やくしおんせん
別府温泉は、JR日豊本線別府駅周辺の繁華街に所在する八湯の中心
となる温泉地で、別府湾に面した北浜地区には大型のホテル・旅館が
建ち並んでいます。

8世紀の初めに編まれた『伊予国風土記』に「速見の湯」として登場
し、鎌倉時代には、御家人であった大友頼康(1222~1300)によって温
泉奉行が置かれ、元寇の戦傷者が保養に訪れたと伝えられています。
また、江戸時代後期の1817(文化14)年に書かれた温泉番付『諸国温泉
効能鑑』では、西の前頭六枚目に位置付けられています。
明治時代に入り、流川の河口に旧別府港が完成(1871年)し、日豊本線
が延伸開業(1911年)すると大きく発展を遂げ、“山は富士、海は瀬戸
内、湯は別府”というキャッチフレーズを考案した油屋熊八の尽力も
あって、全国的に有名な観光・温泉地となりました。
別府温泉郷は、伽藍岳(硫黄山・1045.3m)と鶴見岳(1374.5m)という2つの活火山の東麓に湧く、わが国を
代表する温泉地です。

温泉郷内には、“別府八湯”と総称される別府・亀川・柴石・鉄輪・明礬・堀田・観海寺・浜脇という個性
豊かな8か所の温泉地が点在し、掲示用新泉質名として大別される10の泉質のうち、7種類の湯を楽しむこと
ができます。
泉源の数は別府市内で2288孔、湧出量は毎分87550ℓ(『平成30年度 東部保健所報』より)を数え、“泉都”
の名に相応しい日本一の豊富な湯量を誇っています。
薄暗い浴室では、天井と壁の間に設えられた湯気抜きから射し込む光線
によって塗装の剥がれ落ちた天井が照らし出され、この浴場がまもなく
役目を終えつつあることを一層実感させてくれました。

昼の中断時間(営業時間 6:30~10:30・14:00~22:30)の直前に訪れたた
め、タイル張りの湯船に満たされた透明湯は鈍り気味。わずかに濁りの
ある少し熱めの湯からは、土類っぽい成分臭が感じられました。
春まだ遠い2月上旬、2年2か月ぶりに再訪しました。
別府八湯の共同浴場では、駅前高等温泉・永石温泉と並んで3度目の
入湯となります。
2度目の訪問を果たした当日、茶房たかさきのマスター 高崎富士夫さ
んとの歓談の中で、道路の拡幅によって近い将来取り壊されるという
話を耳にしていましたが、この1月下旬に3月いっぱいで閉鎖されると
いう情報に接し、矢も盾もたまらず別府に足を運びました。

激しく車が行き交う喧騒から切り離されたように交差点の角に泰然と
佇む、時代に取り残されたようなトタン張りの浴舎は相変わらず。
以前と同じように左手前の部屋でテレビを楽しまれている管理人さん
に入浴料を手渡し、奥の浴場へ向かいます。
暖簾の先は壁で仕切られ、右側が男湯となっています。
浴場は脱衣所とその奥の浴室が一体となった造りで、簀子敷
きの脱衣所には、手前に腰掛けが設えられた21庫の脱衣箱が
備えられています。
脱衣所から2段ほど低い位置にある浴室はタイル張りで、天
井や壁は塗装が所々剥げ落ち、浴舎の外観と同様にかなり傷
みが進んでいます。

浴室中央には1.8×1.5mほどのタイル張り湯船が配され、浴
槽内の湯口から掛け流される高温泉を冷ますため、左横の水
カランからビニールホースが延びていました。
少し熱めの無色透明の湯は、単純温泉らしく肌当たりの柔ら
かいさっぱりした浸かり心地。
ほぼ無味無臭で真水と錯覚するほどでしたが、湯船の底では
埃のような褐色の湯の華が見られました。
『薬師温泉』は、大正時代、南西に存在した白湯温泉が閉鎖されたの
を受けて創設されたという野口中町に所在する共同浴場で、富士見通
りと幸通りが交わる富士見通り7丁目交差点の南東角に位置していま
す。

昭和に入って改築されたというピーコックブルーのトタンを張った寄
棟造り木造平屋建ての浴舎は、そこだけ時代から取り残された感すら
覚えるかなり鄙びたもので、初めて訪れた時は、横を通り過ぎて交差
点を渡ったところで振り返り、ようやく浴場であることに気が付いた
ほどでした。
扉を開けて中へ入ると薄暗い通路が奥へ延び、暖簾で目隠しされた浴
場入口の左手前には受付があり、管理人さんが常駐しています。

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別府温泉の共同浴場と言えば、ランドマーク的な存在である竹瓦温泉や駅前高等温泉、路地裏温泉として名
高い梅園温泉などがよく知られていますが、2009年から休業中の望潮泉や2012年の末に一足早く閉鎖となっ
た如意輪温泉と並んで別府八湯でも指折りの鄙び湯であっただけに、やはり寂しさは拭えません。
                                           〔13.04.01〕
都市化の波に呑み込まれず、交通量のとても多い幹線道路に面してこのような共同湯がひっそりと残されて
いるのは一つの驚きであり、別府が泉都と呼ばれる所以を実感させられた浴場でした。    〔11.04.07〕