住 所   熊本県人吉市上青井町180
  電 話   0966-22-2244
 営業時間   立寄り 13:00~20:00
 入浴料   500円
温泉利用状況   完全放流式 (夏期 加水あり)
   
 源 泉 名   
  泉 質   ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉
 湧出量   184   ℓ/min
 泉 温   54.6  ℃
 pH   7.58
 成分総計   2.356 g/㎏
    Sr=0.1/Na=633.5/K=58.7/Ca=7.3/Mg=2.0/Fe2=0.6
  (702.2㎎/㎏)
  F=0.8/Cl=506.2/SO4=84.8/HCO3=814.7/HS=1.0
  (1408㎎/㎏)
  H2SiO3=160.3/HBO2=32.4(192.7㎎/㎏)
  CO2=52.8/H2S=0.3(53.1㎎/㎏)
     
〔2009.01.30〕
 入浴履歴   初訪14.05.03 泊
 評 価   ★★★★
 人吉温泉
芳 野 旅 館
                           ひとよしおんせん よしのりょかん
両湯船に供されているの
は、2009年2月に地下600
mで新たに掘削された自
家源泉の含重曹-食塩泉。

湯船に満たされた緑褐色
を帯びた透明湯からは、
かろうじて金気臭が香る
程度ですが、湯口では金
気含みの油臭と微弱な硫
黄臭が香り、カランでは
硫黄臭がより強く感じら
れ、奈良県十津川温泉を
想起させられました。
左奥に寄せて3.6×1.5mほどの石板張りの
湯船が配され、さらに右奥のガラス扉を出
た先には、石垣に遮られているものの、細
長い露天岩風呂が併設されていました。
床は石板、壁は平石や大小の岩で仕上げられ、左の仕切り壁の手前側に
シャワーカラン2基、左手前に同1基、右壁に温冷カランとシャワーカラ
ンが1基ずつ設けられています。

空間的には決して広くはありませんが、正面から右側がガラス張りとな
っていることから、室内の広さの割に明るく開放的な感じがします。
脱衣所は板張りで、左壁に角籠11
個を納めた15庫の脱衣箱が設えら
れ、正面に洗面ボウル2基のパウ
ダーコーナーが設置されていまし
た。

浴室は脱衣所から数段下りた位置
にあり、室内に脚を踏み入れた瞬
間、油臭が鼻孔をくすぐり、いや
が上にも期待が高まります。
この宿には造りや意匠がすべて異なる全20室の客室があり、利用させていた
だいたのは、帳場の背後から板張りの廊下を左へ進んだ一番奥、左側の角部
屋の十五番です。
ほぼ北面する本館母屋に対し、風水によってやや西を向いた重厚な入母屋造
り瓦葺きの玄関を入り、すぐ左手にある帳場で名前を告げると、程なくして
担当の仲居さんが現われ、客室へ案内して下さいました。
1930(昭和5)年、上総掘りによって敷地内で温泉を掘り当て、翌年、
京都で修業した宮大工の和賀篤三郎氏を招いて入母屋造り木造2階建
ての本館を建築し、湯宿としての道を歩み出しました。

1936年に増築、1975年に改修されたこの本館に加え、1913年の増築時
に建てられ、本館の南側に接続する入母屋造り木造2階建ての別広間
棟、その西側に接続し、創業者の住居を存置して利用しているという
敷地内では最も古い1888(明治21)年に建築された入母屋造り及び切妻
造り木造平屋建ての居間棟、大正時代前期、安藤家邸宅の庭園を受け
継いだ中庭を挟んで敷地の西側に料亭として建てられた入母屋造り木
造2階建ての従業員棟の計4棟の建築物は、人吉旅館とともに2013年3
月29日に国の有形文化財に登録されています。
人吉温泉は、日本三大急流の一つに数えられる球磨川が東から西へ貫流する人吉盆地の西部に位置し、江戸
時代には2万2千石の石高を有する人吉藩相良家の城下町として栄え、武家屋敷や神社仏閣が点在する情緒豊
かな街並みから“九州の小京都”と称される熊本県の最南端、人吉に湧く温泉です。

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GWということで宿泊客が多く、登録有形文化財の館内をくまなく巡ることができなかったのが心残りです
が、石造りの湯口からザバザバと掛け流され、3時間で入れ替わるという内湯の湯は、少し熱めながらも鮮
度が良く、肌がつるつるするモール泉を心ゆくまで堪能することができ、満足のいく滞在となりました。
                                           〔15.03.17〕
“石の湯”と呼ばれる男女別の浴場
は、客室へ向かう廊下の途中を右に
折れ、階段を16段分下りた地下にあ
り、右が男、左が女湯に分かれてい
ます。
曇りガラスの格子戸を入ると、正面に
は2脚のソファが置かれ、2面のガラス
窓から庭を眺めることができる板間が
あり、その左側が太い竹を床柱にした
床の間が設えられた6畳間、さらに右
奥にはかつて芸姑さんの化粧部屋だっ
たという2畳間が付いていました。
『芳野旅館』は、JR肥薩線の人吉駅前から県道人吉停車場線(188号)
で南南東へ180mほど向かい、2つめの信号交差点を左に折れて200m足
らず東進した右手、南流する球磨川の支流 山田川の西岸に所在する老
舗の温泉旅館で、2014年のGWに初めて人吉を訪れた折、宿泊利用しま
した(1泊夕食付き税別 13000円)。

1909(明治42)年、初代館主の田口豊吉氏が相良藩の御典医を務めていた
妻の実家である安藤家の一部を利用して創業した料亭「吉野本店」を前
身とし、1913(大正2)年に料亭「芳野」として山田川に臨む百畳敷き3階
建てに増築。
1492(明応元)年の正月に井口八幡宮へ弓始めに参詣した相良家12代当
主 相良為続(1447~1500)が林村の湯楽寺で湯治した記録が残されて
いるという500年以上の歴史を持つ温泉ですが、本格的な開発は1910
(明治43)年に現在温泉町と呼ばれている万江川が球磨川と合流する地
で川野廉氏が泉源掘削に成功し、「翠嵐楼」を創業したことを嚆矢と
しており、当初は地名から“林温泉”と呼ばれていました。

昭和に入って上総掘りという井戸掘りの技術が伝えられると、市街地
でも泉源の掘削が次々と行われるようになり、2012年3月末現在、源
泉数は78本に上り、市内には23軒の宿泊施設と33か所を数える公衆浴
場(公衆浴場業許可を有する宿泊施設も含む)が点在しています(平成
25年版 人吉市統計年鑑 2014.4.1)。