住 所   群馬県吾妻郡草津町草津396
  電 話   0279-88-2311
 営業時間   立寄り 11:30~16:00
 入浴料   1200円
温泉利用状況   完全放流式
   
 源 泉 名   白旗源泉
  泉 質   酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉
 湧出量       ℓ/min
 泉 温   50.8  ℃
 pH   2.1
 成分総計   1.76 g/㎏
    H=8.91/Na=54.4/K=26.5/Ca=76.5/Mg=37.4/Al=43.9/
  Fe2=17.6/Mn=1.96(267㎎/㎏)
  F=9.5/Br=1.5/Cl=310/SO4=651/HSO4=195
  (1167㎎/㎏)
  H2Si03=216/HBO2=8.1/H2SO4=4.4(229㎎/㎏)
  CO2=88.0/H2S=7.7(95.7㎎/㎏)   
  
〔2013.05.15〕
 入浴履歴   初訪11.08.06
 評 価   ★★★★★★★
 草津温泉
奈 良 屋
                                 くさつおんせん ならや
沼田藩真田家の改易後に江戸幕府の天領となった近世には、1717(享保2)年に8
代将軍吉宗が温泉を汲み上げて江戸城に運ばせたり、小林一茶・十返舎一九・
佐久間象山といった文人も訪れています。
また、この時代を通じて60軒に及ぶ湯屋が設けられ、訪問客は1年に1万人を超
えて、“草津千軒江戸構え”と言われるほどの賑わいぶりであったそうです。

草津温泉の源泉といえば、岡本太郎のデザインによって温泉街の中心でロータ
リー状に整備された湯畑源泉が有名ですが、このほかに白旗・地蔵・煮川・西
の河原・万代鉱といった公的管理されている源泉や宿泊施設等が所有している
小源泉も多数あります。
1975年から硫黄鉱山の坑道で新たに噴出した万代鉱源泉の利用を開始したのを
機に、町による集中管理給湯システムが整備され、一気に温泉規模が拡大しま
した。
鎌倉時代初期の1193(建久4)年、源頼朝が浅間山三原野で巻狩りを行っ
た際に発見し、案内を務めた木曾義仲の旧臣細野御殿之助に湯本姓を与
え、地頭として温泉経営を任せたと伝えられていますが、確実な史料と
しては、東国への布教活動を行っていた蓮如が、1472(文明4)年に長野
市にある西厳寺の住職の案内で訪れたというのが初出のようです。

また、1489(延徳元)年には、京都相国寺の禅僧で歌人でもあった万里集
九が、詩文集『梅花無人蔵』の中で有馬温泉・下呂温泉とともにその名
泉ぶりを讃えており、少なくとも室町時代の中頃には温泉地として整備
されていたことが窺われます。
なお、万里による記述は、そのまま江戸時代前期に林羅山が唱えた“日
本三名泉”に引き継がれています。
“草津よいと~こ、一度~は~おいで~(ハドッコイショ)”という湯もみ唄でよく知られる草津温泉は、群
馬県の北西部、草津白根山東麓の標高1170mの高所に、約130軒の宿泊施設、誰でも無料で利用可能な19か所
の共同浴場、飲食店・土産物屋などが集まる、わが国を代表する温泉地の一つです。

毎分36839ℓ、ドラム缶にして1日に25万本という自然湧出量では日本一の豊富な湯量を誇り、加えてpH2.0前
後という日本有数の酸性度から、温泉街に建ち並ぶ旅館や共同浴場のすべてが完全放流式を採っています。
各湯船に掛け流
しで供されてい
るのは、10軒の
宿のみ引湯が許
されているとい
う白旗源泉。

泉源より自然流
下式で引かれた
源泉を、2名の
湯守により、敷
地内にある2つ
の貯湯槽で適温
まで冷却してい
るそうです。
浴場は踊り場からさらに階段を7段分下りたところにあり、表面に滑り
止めの加工を施した石板を張った内湯浴室には、御影石で縁取った長径
4.75m、短径3.25mほどの楕円形を呈した耐酸コンクリート造りの湯船
が配され、その奥には間仕切りされた計8基のシャワーカランからなる
洗い場が設けられています。

また、内湯とは透明ガラ
スで画された右手前には、
板張りの半露天風呂が付
設され、そこには御影石
で縁取った2.8×1.65m
ほどのコンクリート湯船
が設置されていました。
脱衣所はさほど広くはありませんが、
2004年3月に改装されたとあって、
清潔感のある小綺麗な造りとなって
います。

中央に置かれている6庫ずつ背中合
わせとなった籠入り脱衣箱を挟んで、
右側に洗面ボウル3基、左に3段の籠
入り脱衣箱とロッカーが各々4・3列
配され、さらに木造の階段を4段分
下りた踊り場にも、左側に洗面ボウ
ル2基が備えられていました。
左右両側に“丸に中陰武田菱”と“丸に三つ葉葵”の家紋入りの提灯
がぶら下がった玄関を入ると、正面に江戸時代の旅籠を想わせるよう
な趣のある帳場があり、老舗の宿が放つ独特の雰囲気に気圧されるも
のを感じながら、立寄り入浴をお願いしました。

浴場は、“将軍御汲上の湯”“花の湯”という男女入替えの大浴場の
ほか、座敷付き貸切露天“信楽”“檜”、貸切内湯“瓢箪”があり、
立寄り入浴では、御汲上の湯が男湯、花の湯が女湯となっています。
帳場の右横の階段を8段分上って右手に向かい、途中の階段を下りた
奥に休息処が設けられており、そこからさらに右奥へ進んだところが
御汲上の湯、左の通路を進んで階段を下り、突き当たりを右に折れた
先が花の湯となっています。
『奈良屋』は、湯畑から西の河原通
りを北西へ約50m、山本館の裏手に
所在する1877(明治10)年創業の老舗
和風旅館です。

白壁と焦げ茶色の木材のコントラス
トが美しい1954年に建築された木造
3階建ての本館 ゆけむり館とその背
後に建つ鉄筋5階建てのつつじ館か
らなり、客室は全35室を数えます。
白旗源泉
戦国時代には傷病治癒の評価が上がり、丹羽長秀や豊臣秀吉の異父妹で徳川家康の正室になった朝日姫、大
谷吉継・前田利家といった武将らが湯治に訪れているほか、秀吉からは家康に入湯を勧める書状が送られて
います。

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うっすらと濁った半透明の湯からは、明礬臭がほんのり加わった焦げ硫黄臭が香り、レモン汁のような強い
酸味を伴い、少し肌がピリピリする白旗源泉らしい浴感が得られました。
また、湯の中では細かい塵のような白い湯の華がたくさん浮遊し、底にも沈殿していました。

畳敷きの館内は、落ち着きのある設えが1ランク上の湯宿であることを感じさせ、名前に相応しい風格と風
情のある浴場、そして草津最古の源泉とされる白旗の湯のいずれも素晴らしく、これまで入湯した草津温泉
の宿ぶろの中では最も気に入りました。                         〔12.09.06〕