住 所   岡山県苫田郡鏡野町奥津55
  電 話   0868-52-0121
 営業時間   2012.03.31 閉館
 入浴料   1000円
温泉利用状況   完全放流式 (加温あり)
   
 源 泉 名   河鹿園温泉
  泉 質   単純温泉(アルカリ性)
 湧出量   300  ℓ/min
 泉 温   38.4 ℃
 pH   9.1
 成分総計   0.12 g/㎏
    Na=28.0/K=0.7/Ca=3.4(32.1㎎/㎏)
  F=1.4/Cl=9.9/SO4=10.0/HCO3=47.0/CO3=2.4/
  OH=0.2/HS=0.2(71.1㎎/㎏)
  H2Si03=19.0/HBO2=0.3(19.3㎎/㎏)
                    〔1997.06.19〕
 入浴履歴   初訪09.02.15
 評 価   ★★★★★★ (暫定)
 奥津温泉
河 鹿 園
                            おくつおんせん かじかえん
湯船の端に付設された三角形状の枡に湯口があり、ここから湯が零
れ落ちて湯船に注がれるようになっているほか、紅色の壁下からも
直接注入されています。

無色透明の清澄な湯からは、微弱ながら成分臭とほんのり甘苦味が
感じられ、泉温が少し低いために弱く加温されているものの、つる
つる感とともに微細な泡付きが顕著に認められました。
注入量が多いため、クロークは常に湯船から溢れ出た湯によってせ
せらぎのような状態。時折、湯船から上がってここで寝転がり、そ
の感触を楽しみました。
吉井川に面した右側のガラス窓か
ら陽光が降り注ぐ浴室には、正面
の紅色を基調としたタイル張りの
壁の下に、同色のタイルで縁取り、
底は水色タイル張りとなった曲線
的な湯船が配され、湯船の周りに
は一段低くなったクロークのよう
な造作が施されています。

室内はガラス窓と天井以外は、驚
くことにすべて1㎝四方のタイル
張りとなっていて、これらはすべ
て昭和初期のタイル職人の手によ
るものとのことです。
『河鹿園』は、奥津荘・東和楼とともに吉井川の左岸に軒を連ねて建つ
奥津温泉を代表する老舗旅館で、1929(昭和4)年に先代の光永大佑氏が
森忠政の御殿湯跡に小美術館を兼ねた宿として創業したそうです。

吉井川に臨む18室の客室を擁する白壁3階建ての建物は、風情のある木
造建築を伝える他の2館と比べて近代的な外観ですが、館内は老舗の宿
らしいしっとりと落ち着いた雰囲気が感じられます。
板張りのロビーには、左手に帳場と呼ぶにはお洒落な前面タイル張りの
カウンターが置かれ、右側の窓からは見事な庭を、さらにその奥では棟
方志功など先代と交友のあった芸術家の作品を楽しむことができます。
奥津温泉は、中国自動車道の院庄I.Cから国道179号で北へ20㎞余り、吉井川に架かる奥津橋を中心に7軒の
宿泊施設が集まる山間の静かな温泉地で、湯郷温泉・湯原温泉とともに「美作三湯」と呼称されています。

大国主命の命で巡撫使として地方を巡っていた大巳貴命と少彦名命が発見したという神話はさておき、戦国
時代の末期には、宇喜多詮家と名乗っていた後の津和野藩主 坂崎直盛(1563?~1616)がこの湯に浸かって傷
を癒したとされ、1603(慶長8)年に津山藩主となった森忠政(1570~1634)は、この湯を大変気に入って専用
の湯治場を設け、領民が利用できないよう鍵を掛けて湯番を置いたと伝えられています。

トップページへ



岡山県の温泉へ



湯の鮮度では、さすがに足元湧出で湯量豊富な東和楼に軍配が上がりますが、他の2館では顕著ではなかった
泡付きのある湯をゆったりと堪能することができ、期待していた以上に満足度の高い湯浴みとなりました。
                                           〔10.12.19〕
浴場は、ロビーからまっすぐ進んだ奥に殿方浴室“御殿湯”と婦人浴室“かじ
かの湯”という2つの内湯があるほか、宿泊客には、“銀河の湯”という2004
年5月に新設された露天風呂や家族風呂も用意されています。
内湯にはそれぞれ殿方・婦人と付されてい
るものの、実は朝夕で男女交替。
訪れた時は、案内表示どおりに御殿湯が男
湯となっていました。

脱衣所は右側に籠を2段に並べ、奥に洗面
台を設えただけの簡素な造りですが、壁の
淡い鶯色が優しさを演出し、洗面所との間
を画した格子の木戸が落ち着きを感じさせ
てくれます。
大正時代には温泉街が形成され、1933年に与謝野鉄幹・晶子夫妻が訪
れているほか、戦後には版画家の棟方志功がたびたび投宿していたそ
うです。
また、1947年に発表された藤原審爾の『秋津温泉』はこの温泉地をモ
デルに執筆され、1962年に松竹によって映画化された際にロケ地とな
ったことで一躍有名となりました。
1966年8月には国民保養温泉地に指定され、日本観光地百選にも選ば
れています。

なお、かつてこの地には、川の畔で湧出する温泉を利用して洗濯をす
る際に、周囲に棲息する熊や狼から身を守るために見張りながら立っ
たままで行う“足踏み洗濯”という風習があり、現在、日曜・祝日の
8時半から奥津橋の下で観光用に実演されています。