住 所   和歌山県田辺市本宮町湯峯122
  電 話   0735-42-0012
 営業時間   立寄り 13:00~15:00
 入浴料   720円
温泉利用状況   完全放流式
   
 源 泉 名   環湯 / C中継タンク(玉子湯・平成1号・平成4号・
  龍の湯)
  泉 質   含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉
 湧出量   60 /    ℓ/min
 泉 温   91.5 / 83.0 ℃
 pH   7.7 / 6.0
 成分総計   1.708 / 1.835 g/㎏
    Na=417.7/K=20.7/Ca=18.8/Mg=1.3/Fe2=0.2
  (458.7㎎/㎏)
  F=9.3/Cl=207.1/SO4=9.3/HCO3=835.9/CO3=0.9/
  HS=1.1/S2O3=1.1/HSiO3=1.8(1067㎎/㎏)
  H2Si03=126.1(126.1㎎/㎏)

  C02=55.2/H2S=0.5(55.7㎎/㎏)         〔1995.11.09〕

  H=<0.1/Na=421.2/K=25.5/Ca=14.0/Mg=1.6/Al=<0.1/
  Fe2=<0.1/Mn=0.2(462.5㎎/㎏)
  F=8.5/Cl=202.2/SO4=6.7/HCO3=835.5/CO3=<0.1/
  OH=<0.1/HS=1.3/S2O3=1.3/BO2=<0.1/HSiO3=<0.1
  (1055.5㎎/㎏)
  H2Si03=158.1/HBO2=13.3(171.4mg/kg)
  C02=143.0/H2S=2.2(145.2mg/kg)      〔2011.04.04〕
 入浴履歴   初訪06.11.23,最終17.12.23(8回目)
 評 価   ★★★★★★★
 湯の峰温泉
旅館 あづまや
                 ゆのみねおんせん りょかん あづまや
『旅館 あづまや』は、公衆浴場の道向かいに所在する江戸時代中~後期に創業したこの温泉地を代表する
老舗旅館で、ド・ゴール政権で文化相を務め、『王道』『人間の条件』を著したフランスの作家アンドレ・
マルローが激賞した宿としても知られています。
奥に長い板張りの脱衣所には、入
口扉のすぐ右横に洗面化粧台が置
かれ、左壁には3段の棚に13個の
角籠が備えられています。

また、一段高くなった奥には、左
側にこの宿自慢のむし風呂が付設
され、その前には木造りの腰掛け
が設置されていました。
帳場から右奥へ進み、“環湯”と染
め抜かれた紺青色のタペストリーの
左横を抜けて浴場へ。

大浴場の入口である廊下突き当たり
のガラス戸の上には、金文字で女湯
と記された札が掛けられており、嬉
しいことに、今回はこれまでに入湯
の機会が少なかった左手前の小浴場
を利用することができました。
微白濁したさまし湯
からは焦げ硫黄臭と
弱玉子味が感じられ、
白い湯の華が舞う湯
に浸かると肌が少し
つるつるしました。

つぼ湯や公衆浴場の
薬湯ほど強くはない
ものの、木の香が加
わった芳ばしい香り
が浴室全体に漂い、
静謐な雰囲気も加わ
って、とても癒され
ました。

温泉はもちろん、その場に身を置いているだけで満足感が得られる関西では稀有な浴舎で、おそらく季節や
時間、日照具合によって雰囲気や佇まいが変化するものと想定されます。

一度ぜひ宿泊してその移り変わりを実感してみたい、そんな想いを強く抱かされた一湯でした。
                               〔09.11.07,11.04.10 画像一部差替え〕
一方、小浴場は、主浴槽の大きさを始め全体が小振りとなっていますが、下の写真のように基本的な造りは
大浴場と同じで、風情もなかなかのものでした。
1903(明治36)年築を最古とする木造
2階建ての建物は、建て増しが続け
られて横へ奥へと拡がり、一見4階
建ての建築物のようにも見えます。

館内へ入ると正面が帳場。
立寄り入浴客であっても応対は丁寧
で、従業員の教育が十分行き届いて
いることに老舗らしさを強く感じま
した。
今から1800年前、第13代の成務天皇の代に熊野国造 大阿刀足尼によ
って発見されたという伝えを残し、湯の華でできた薬師如来の胸から
温泉が湧出したことから“湯の胸”、それが転じて“湯の峰”と呼ば
れるようになったとも言われています。
中世には熊野本宮大社への参詣者の湯垢離場として栄え、室町時代に
は、上杉禅秀の乱で足利持氏に敗れ、相模国で毒を盛られた常陸の豪
族 小栗助重(判官)が、熊野権現の導きと照手姫の助力によってこの
地に辿り着き、49日の湯治のうえ蘇生したという伝説も残されていま
す。

なお、1957年には、同じ本宮町内の川湯温泉・渡瀬温泉とともに熊野
本宮温泉郷として国民温泉保養地に指定されました。
一方、手前側に設えられた1.25×0.9m強ほどの小浴槽には、
大浴場と同様、泉温90℃超の激熱の源泉を自然冷却させたさ
まし湯が満たされています。
廊下を挟んだ向かい側には、日本庭園を専門とする京都大学の教授が
設計されたという庭園露天風呂が併設され、焦げ硫黄臭が仄かに香る
少しぬるめの湯を楽しむことができますが、何といってもこの宿の白
眉は、西日本で間違いなく五指に入る風情を誇る総木造りの内湯でし
ょう。

室内が小振りな分、重厚さという点ではさすがに大浴場に及びません
が、静寂の中、湯音のみが響き渡る厳粛な雰囲気は遜色なく、いつも
と同じように制限時間いっぱいまで滞在し、趣のある佇まいを存分に
堪能させていただきました。
            〔14.05.27,14.12.28 画像追加・記事補訂〕
灰白色に濁った少し熱め
の半透明湯からは、主浴
槽より強めの焦げ硫黄臭
が香り立ち、湯口の源泉
を口に含むと、苦味とと
もに極薄の塩味が感じら
れました。
2.4m弱×2.0
mほどの主浴
槽には、加水
によって熱め
寄りの適温に
調整された透
明湯が表面張
力によって盛
り上がって見
えるほどたっ
ぷりと湛えら
れ、弱い焦げ
硫黄臭とつる
っとした肌触
りが感じられ
ました。
大浴場と同じ
く檜板と那智
黒石を固めた
板を敷き並べ
た浴場には、
正面右端に温
冷カラン1基、
右壁と左手前
に各2・1基の
シャワーカラ
ンが並び、左
側には槙造り
の大小2つの
湯船が前後に
配されていま
す。
2011年9月の紀伊半島大水害の影響で伊せやが閉館となった現在、江戸時代以来の歴史を守り続ける唯一の
湯宿 あづまやを3年1か月振りに訪れました。

湯の谷川の畔に設けられている湯筒で茹でた大好物の温泉玉子を味わった後、立寄り入浴の受け入れが始ま
る午後1時きっかりに訪問。
4月の消費税率引き上げに伴い、入浴料が20円値上げされていました。
さらに特筆すべきは、小浴槽の奥にある高温の源泉の蒸気を利用した“む
し風呂”で、硫黄臭が立ち込めた板壁の小部屋は不思議と圧迫感はなく、
気持ちの良い汗をびっしょり掻くことができました。
また、脱衣所を介して行き来
することができる露天風呂に
は、ほぼ透明の共同源泉が引
かれていましたが、内湯より
も臭気が弱く、浴感に物足り
なさが残りました。
また、床には簀子状の檜板と那
智黒石を板状に固めたものが交
互に嵌めてあり、足元が滑らな
いよう心憎い配慮がなされてい
ます。

2つある湯船はいずれも槙造り
で、3.5×2.8mほどの主浴槽に
は多少水を加えた源泉、2名浸
かるのが精一杯の1.5×0.9mの
小浴槽には、一旦屋外で冷却さ
せた源泉100%の“さまし湯”
が掛け流されています。
浴舎は帳場から右へ突き進んだ奥にあり、露天風呂を伴った大・小2つ
の浴場と家族風呂に分かれています。

大正期に造られたという大浴場は、高野槙を用いた風格十分なもので、
天井が高いうえに湯気抜きが設けられているため、湯気が立ち込めるこ
とはほとんどありません。
湯の峰温泉は、国道168号の本宮交差点から国道311号(熊野街道)を経由して約4㎞、湯の谷川の狭小な谷間と
これが注ぐ四村川の畔に13軒の宿が建ち並ぶ、硫黄の香り漂う風情のある温泉地です。

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